なぜ進まない? 産休の保育士に代替を派遣 ニーズあるのに…県が市町村に「待った」


YAHOO!JAPANニュース様


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 沖縄県が昨年4月に市町村へ移管した保育士関連の事業が、41市町村のうち37市町村で未実施のままになっている。保育士が産休に入った際、代わりの保育士を行政が確保する「保育士産休等代替職員配置支援事業」だ。未実施の背景には、国の一括交付金が減額された影響で県が必要な財源をつくれるか見通せず、市町村側に「待った」がかかった経緯がある。年度途中の昨年11月という異例のタイミングで事業化した宜野湾市は「県との日頃のコミュニケーション」を課題に挙げる。(中部報道部・平島夏実)

 代替職員配置支援事業では、保育士の産前産後、行政が代わりの保育士を派遣して給料を負担する。対象は認可外保育園を除く保育施設。現場で働く保育士の負担を減らし、離職防止につなげる狙いがある。  県は2015年度、全額県負担で事業を始めた。21年度までに9~13市町村から申請があり、21~34人が利用した。「利用要件が厳しく実績が伸び悩んだ面があった」(県担当者)とはいえ、一定のニーズがあったのは確かだ。

■二転三転する県  県が22年度、事業を市町村に移管した理由は、第6次沖縄振興計画が始まるのを機に一括交付金を充てる方針にしたからだという。一括交付金事業の負担割合は「国8割、県1割、市町村1割」が基本。3者のうち、保育施設と直接やりとりする立場の市町村を事業主体に据えた。  県は宜野湾市に対して21年10月、「移管したい」と連絡した。同年12月、県側が財源を確保できない見通しになったため、市は新年度からの事業化を断念した。翌年2月になって一転、県は「財源のめどが付いた」と説明したが、市の事務作業は間に合わなかったという。 ■振り回された市  その宜野湾市が昨年11月に事業化へ踏み切ったのは、32施設でつくる市認可保育園園長会からの要請が発端だ。市議会では上地安之議員が「年度途中であっても実施すべきだ。待っている方々がいる」と追及した。市は当初「同じ年度なのに利用できた人とできなかった人が出るのは不公平感がある」として消極的だったが、ニーズ調査を踏まえて臨時議会に補正予算案を上げた。利用人数が想定を上回れば「予備費を充てて支援したい」と話す。  県から事業を引き継いだ市町村は、ことし1月現在で宜野湾市、うるま市、沖縄市、名護市にとどまる。いずれも年度途中で事業化した。県によると、新たに4市町が4月からの実施を検討しているという。  保育士不足を解消する取り組みはこれからも必要だ。保育士を確保できず、子どもの受け入れ人数を定員以下に減らすことで帳尻を合わせている施設も少なくない。事業移管が「一括交付金の交付見通し」に振り回された今回の事例を、県も市町村も繰り返してはいけない。

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