保育士 地元でキャリア研修 中東遠5市町が広域開催【届かぬ声 子どもの現場は今】


yahooニュース



------------------------------------------------------------------------------------------------
保育士らの処遇改善につながる「キャリアアップ研修」の受講を後押ししようと、中東遠地域の5市町(掛川、袋井、菊川、磐田市、森町)が本年度から同地域を会場に研修を開講している。業務が多忙で職場を離れるのも難しい保育士のため、より近い場所で受講機会を増やす目的。関係者によると、近隣自治体が連携して広域的に開講する事例は全国的にも珍しいという。  「気持ちの切り替えが難しい子に、どう対応したらいいか」。19日、袋井市役所東分庁舎コスモス館で行われた研修に5市町の保育士や幼稚園教諭ら95人が集まった。テーマは「障害児の発達の援助」。個々の特性を理解した上でどのように支援をするべきか、参加者は講義内容を踏まえて意見を交わした。  同研修は国による民間保育士の処遇改善策として2017年度に始まった。研修は都道府県の他、実施機関として認められた市町や非営利団体などが開講できる。県内では県を除くと実施機関は昨年度まで2~4団体しかなく、希望者が受講できないケースも多かった。開催地は静岡、沼津、浜松の3市が中心で、3日間連続で研修が行われることも多く、中東遠地域の保育士にとっては参加しにくい状況だった。本年度からは処遇改善の条件として受講実績をより重視するルールが適用されたこともあり、研修を受けやすい環境整備が求められていた。  そこで同地域の幼稚園長やこども園長らが各自治体に開講を要望。本年度は5市町で計7分野の研修が開かれ、延べ約3千人分の受講機会を新たに創出できる見通しという。  袋井市内の保育園に勤める渡辺真菜さん(26)は「先輩は沼津市で行われた3日間の研修に泊まりがけで参加していた。地元で研修があれば午前中は保育に入ることができ、現場も回る」と話す。同日の研修には処遇改善の対象ではない公立園の職員も参加した。磐田市立大藤こども園の田端諒さん(31)は「研修テーマは5市町で異なるので、自分に必要なものを選べるメリットがある」と学びの機会が増えたことを歓迎する。  遠州地区私立幼稚園・こども園協会が中心となって各市町に開講を要望し、実現した。中村千里地区長(61)=掛川市=は「保育士の質の向上は園児のためにもなる」と期待する。(「届かぬ声」取材班)  <メモ>キャリアアップ研修は園長、主任保育士に続く役職として副主任保育士と専門リーダー(実務経験7年以上)、職務分野別リーダー(同3年以上)を設け、受講要件を満たせばそれぞれ月額で4万円と5000円を給与に上乗せできる仕組み。研修内容は「乳児保育」「食育・アレルギー」などで、富士市は2021年度から単独で7分野を開講している。現場の人手に余裕がない施設ほど参加しにくく、処遇改善につながらない面もある。  国は22年2月から保育士らの賃金を3%程度(9000円相当)引き上げる措置も追加しているが、実際は経験年数で金額に差が生じるなど、恩恵は限定的とされる。

静岡新聞社
------------------------------------------------------------------------------------------------






コメント