廃校活用や土地貸与の保育所 群馬県内で拡大、5施設に 低コストでサービス充実


上毛新聞社





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子ども・子育て支援法による公私連携型の保育・教育施設が広がり始めた。群馬県によると、県内は2017年度から設置が始まり、現在は太田市に3施設、甘楽町に2施設の計5施設ある。いずれも自治体と協定を結んだ民間法人が運営し、保育料などの保護者負担を抑えつつ、地域の多様なニーズに応えることを目指す。廃校など遊休地を利活用することで設備投資を抑えられ、民間から幅広く保育の担い手を募れることなどが利点とされ、民営化の一手法として注目されている。

 公私連携制度=ズーム=は15年度に始まった。保育所と認定こども園を対象とする。自治体は土地の貸与や建設補助などハード面を支援し、運営は民間に委ねるが、施設の形態や運営方針などを協定で規定できる。

 太田市は旧町村部の子育て環境整備の一環で、市立幼稚園を幼保連携型認定こども園に移行し、公私連携型を導入した。17年度に県内初の公私連携型保育施設「スマイル幼稚園」(同市藪塚町)、21年度に「生品の風」(同市新田村田町)と「わたっこ」(同市新田上田中町)を開設した。いずれも市が建物や土地を貸与し、民間の運営法人の負担を軽減している。

 甘楽町は保育施設の統廃合を経て22年度に公私連携型を導入。町立保育園から移行した「かんら保育園」(同町白倉)、新設の幼保連携型認定こども園「めぶきの森かんら」(同町小川)を始めた。

 町立保育園時代に行った保護者アンケートで、保育料などの負担軽減を求める声と、行政による安全管理の継続を希望する声があり、両方に対応可能な方法を検討したことが、導入のきっかけとなった。

 現在は施設を運営する2法人と月1回定例会を開き、運営報告や保育方針の協議などを行っている。

 めぶきの森かんらは、旧甘楽一中跡地を活用。民間法人が跡地に園舎を新設し、旧校庭を整備して園庭としている。

 かんら保育園は民営化に合わせてサービスを拡充。保育時間の延長や受け入れ年齢の引き下げを実施した。英会話教育に取り組んでいるほか、4月から富岡市民も利用可能な病児・病後児保育を請け負っている。

 町福祉課の担当者は「幅広いサービスの提供が民営化の利点。待機児童ゼロを維持し、働く保護者たちの支援を続けたい」と話している。

 ズーム 公私連携制度
 2015年度に始まった「子ども・子育て支援新制度」の一環で、市町村と民間法人が協定を結び、民営の保育・教育施設で待機児童の解消やサービスの充実などを進める。市町村は土地や建物の貸与、譲渡などで支援し、民間法人は協定に基づく教育や保育、子育て支援事業などを行う。対象は保育所と認定こども園(保育所型、幼保連携型)。幼保連携型は学校法人か社会福祉法人の運営に限定される。


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