保育実践論文 福井大付幼稚園が最優秀 




中日新聞
------------------------------------------------------------------------------------------------

園児の宇宙愛 広がる過程紹介


 子どもたちの「科学する心」を育もうと、ソニー教育財団(東京)が全国の幼稚園や保育所、認定こども園を対象に行った2023年度の「保育実践論文」の公募で、福井大付属幼稚園(福井市)が最優秀園に選ばれた。論文のテーマは「好きが広がり、世界をひらく~宇宙研究所を通して~」。ある園児が宇宙に関心を持ったことをきっかけに、周囲の子どもたちにも探究心や「宇宙愛」が広まっていく過程をまとめた。
 2023年1月、同園の年中児の一人がラップの芯を使ってロケットを作り、ゴムを引っかけて飛ばした。ほかの園児らもロケット作りを始め、「宇宙研究所」と名付けた園内の遊び場で、ロケットや惑星を模した造形物を作り、図鑑で宇宙のことを調べるようになった。
 同年2月には、教員の提案で宇宙研究所にモニターを設置し、子どもたちは種子島宇宙センター(鹿児島県)で行われたロケットの打ち上げ中継を見守った。年長に進級した6月には、教員がセーレンプラネット(福井市)への園外保育を企画。プラネタリウム鑑賞などの体験を通じて、子どもたちは宇宙への関心をいっそう深めていった。
 論文ではこうした活動の経緯や過程をまとめ、教員側の取り組みや工夫が他の幼稚園などの参考になると評価された。執筆者の一人、同園の上田晴之教諭(44)は、子どもたちの様子を「一人のマニアックな興味ではなく、宇宙が好きという気持ちが他の子にも広がり、宇宙の奥深さをみんなで知っていった」と振り返る。
 論文では、教員側の視点から「発達段階に応じた体験内容の厳選、場の設定も大切」と記した。上田教諭は「教員は子どもたちの宇宙が好きという気持ちに共感し、一緒に発見して、同じ目線で感動できる仲間でいることも重要だと思う」と説明する。
 子どもたちの宇宙への関心はいまも冷めていない。上田教諭は「それぞれが興味を持ったことを(宇宙研究所のように)周囲の友達に認めてもらえる場や仲間づくりの大事さを子どもらに教えてもらった」と笑顔で話した。
 「保育実践論文」には全国から121件の応募があり、福井大付属幼稚園とともに、みなみ若葉こども園(福島県)が最優秀園に選ばれた。


------------------------------------------------------------------------------------------------

コメント